影絵的・日常「思い出ぽろぽろ・その２」

物置にしていた両親の家が売却され、私の手元にはウィスキーと、大学時代の卒業制作で作ったメリーゴーランドの写真１枚だけが残されました。このメリーゴーランド、直径６０センチ以上あり、動物たちは上下に動きながら回転し、さらに屋根の上の小さなメリーゴーランドも逆回転します。当時の私は、なぜだか動くものの仕組みに興味があったようです。
　

最終的に一人では持てないほどの大きさになったため、この“力作”は、卒業と同時に壊されました。後に、映画の美術を手伝っていた頃、撮影所内の建具屋さんにお願いして、動物と壁面部分だけ平べったく飾れるようにしてもらいました。撮影で使った後の建具を利用しているため、今見てもやけにごっついです。
　

この平べったくした飾りたちも、両親の別荘の廊下に吊るしっぱなしにしていましたが、この度、妹母子の住む質素な住まいへと移されました。私は捨てるつもりでいたのですが、妹はぴったりだった！とかなりご満悦です。和室の欄間はいかがなものかと思いつつ、どことなく物悲しいところは確かにメリーゴーランドっぽくていいかもしれません。