昭和の児童書「霧のむこうのふしぎな町」 | 真夜中の影絵だより★2005〜2012

昭和の児童書「霧のむこうのふしぎな町」

「霧のむこうのふしぎな町」
(柏葉幸子・著 竹川功三郎・絵 講談社 1975年)
  
$真夜中の影絵だより ★・・・-霧のむこうのふしぎな町

『リナの目からなみだがながれはじめた。おばあさんは、リナをちらっと見た。ないていることに気がつくと、「リナは、よくわかっていないようだね。このピコット屋敷は下宿屋なんだよ。代々、霧の谷のね。」といい、お茶をズーと一口すすって、こうつづけた。「それで、ここでは自分の食いぶちは・・つまり、いまのことばで・・」と、ことばをさがし、「そう、そう、生活費。その生活費は自分ではたらいてかせいでもらうんだよ。」』
 
$真夜中の影絵だより ★・・・-霧のむこうのふしぎな町

ある少女が不思議な町を訪ね、風変わりな人たちの店で働きながら、ひと夏を過ごして成長していくというファンタジー。そう、この本は「千と千尋の神隠し」のモデルとも言われていて、どこかさえない主人公の女の子や、意地悪なおばあさんは、ジブリアニメによく似ています。私はこの本が大好きで、子どもの頃から何度も読み返してきました。本の末尾で、佐藤さとるさんが“見かけはハイカラで、どこか洋菓子ににたおしゃれなところがありますが、中身は意外と手づくりの味がします”と、この物語の解説をしています。なるほど~という感じです。
 
$真夜中の影絵だより ★・・・-霧のむこうのふしぎな町

今も新装を重ねているこの本ですが、私が現在手にしている古本は発売翌年の第6刷で、本来なら函付きのはずでした。霧のかかった町とピエロの顔の柄のついた傘、というこのお話を象徴する絵柄の・・。あ~ん函だけどこかで入手できないかなぁと強く思う今日この頃。ちなみに本の中身は、いい感じに紙焼けしています。(あ、大変。どんどんマニアックになっていく・・・)