昭和の児童書「ゆめの中でピストル」 | 真夜中の影絵だより★2005〜2012

昭和の児童書「ゆめの中でピストル」

「ゆめの中でピストル」
(寺村輝夫・著 北田卓史・絵 PHP研究所 1976年) 
 

真夜中の影絵だより ★・・・-ゆめの中でピストル  
 

『マチムラ・ユキオ。トウキョウ生まれの人間。エセダ大学卒業。バオバブ・ブックス社編集長。37歳。世の中の人みんなによろこんでもらえるような本をつくるのがゆめ。だが、なかなかゆめがかなえられない。ときどき、しっぱいもする。しっぱいして、世の中の人がこわがるピストルをつくるゆめを見たので、二月三十日たいほ。カエルのオムレツのちゅうしゃをうけて、モドコになる。』

 

真夜中の影絵だより ★・・・-ゆめの中でピストル2
 

会社員のユキオが風邪をひき、薬を飲んで寝ていると、子どもの警官がやってきて、ユキオは逮捕されます。そして連行された先でちゅうしゃという名のピストルで撃たれモドコ(子ども)の姿になります。そこにはユキオのようなモドコが数人いて、ユキオたちは好きなゆめが見られる薬を売って回るのですが(といってもお金をもらうのではなくあげながら)、大人は買うのに子どもは現実的でなかなか欲しがりません。そこで今度は寝ている子どもたちに、好きなゆめを見られるピストルを撃ち、ゆめの世界に誘い入れるのですが、それもなかなかうまくいきません。好きなだけお金をくれて宿題までやってくれる銀行よりも、時間を気にせず遊べる子ども専用の遊園地や動物公園よりも、うるさいパパやママと一緒にいるほうが子どもたちはやはり好きなのです。
  

真夜中の影絵だより ★・・・-ゆめの中でピストル3

 
長年探し続け、出版社、作者ご本人に問い合わせても入手できなかった児童書「ゆめの中のピストル」をこの度入手。あらためて読んでみました。子どもの読みたい本と、大人が子どもに読ませたい本には、時にずれが生じますが、この本は、子どもをワクワクさせ、大人からの強いメッセージもしっかり織り込まれています。ゆめを見ることは大切、だからといって、ゆめのおしうりはいけません。後書きにもそんな風に書かれていました。子どもの頃、繰り返し図書館で読んだ本ですが、最近ではすっかり煮染まり書庫行きとなっている場合が多いようです。機会があれば、ぜひ読んでみてください♪


と、いきなり本の紹介をはじめる私・・・。唐突ですいません。これからも時々、勝手に紹介いたします。