影絵的・思い出「猫町」 | 真夜中の影絵だより★2005〜2012

影絵的・思い出「猫町」


数年前、本屋さんで雑誌をぱらぱらめくっていたら、あるページの写真に小さく写った“猫のお面”に目がとまりました。はっ、これは私が作ったお面!生き別れた我が子(しかもすっかり忘れていた)に偶然再会したような気分でした。そのお面は映画の撮影所でアルバイトしていたころ撮影に使われたもので、大プールの水面に浮かべたステージの後ろに、私が好き勝手に作った巨大な猫のお面たちが吊るされるというものでした。そういえばステージで踊った人がお面を気に入り持って帰ったと言っていたっけ。その雑誌の写真はというと、自宅のスタジオで踊る作家の萩原葉子さんを写したものでした。あぁ、この人だったのかぁ。私は何年も経ってそんなことを知りひとり納得したのでした。その萩原葉子さんのお父さん、萩原朔太郎の「猫町」は影絵的匂いのする私の大好きな話です。