影絵的・書評「スノードーム」 | 真夜中の影絵だより★2005〜2012

影絵的・書評「スノードーム」

050403-2


しかし彼がいきかけたとき、踊り子が動き出した。彼のために息を吹きかえしたのだ。(53頁より引用)


■「スノードーム」 アレックス・シアラー著 石田文子訳 求龍堂

作品が認められ富は得ても、生まれながらの恵まれない容姿からいつも孤独な彫刻家。一方公園の片隅で絵を書き続ける売れない画家とその息子、彼らと家族のように暮らす美しい踊り子。どの人物にも共感できる切ない話。特に彫刻家エックマンの歪んだ愛はなんとも悲しい。それが理解できてしまうのは自分が孤独だから?美しいファンタジーでもあり、ちょっと怖いミステリーでもあるような。スノードーム好きな私はタイトルに惹かれて読んだのですが、まさにそれはガラス玉の中に沈んだ小さな街の物語でした。結末もなかなか!